検査について
当院の3T MRI装置の利点として、従来の1.5T装置に比べ約2倍の信号が得られ、空間解像度が向上し撮像時間も短縮できることや、MRスペクトロスコピィやfiber tractgraphyを日常検査で追加して行なうことができる点が挙げられます。
全身の臓器検査に対応できる装置ですが、特に頭部では、脳標本のような高分解能画像が得られ、従来見えなかった穿通枝のような非常に微小な血管も描出できます。従来の1.5T装置に比べfunctional MRIの質も向上し言語野等の高次機能への応用が期待され、術前の情報として運動野や言語優位半球の同定にも優れています。Functional MRIやDiffusion Tensor Imagingは、脳外科での術前評価や放射線治療における照射野決定に有用です。
整形外科領域では従来の1.5T装置では困難であった関節軟骨部の変性が検出できます。さらに、腫瘍などの生化学成分を解析するMRスペクトロスコピーの性能も改善され、18F-FDG PET/CT検査とともに放射線治療の効果判定に活用できます。また、3T MRI装置では、腹部や骨盤内の諸臓器の検査が、従来の1.5T装置とほぼ同様に行えます。必要に応じて造影剤を使用する検査も可能です。
脳MR検査の大きな目的は脳卒中(脳血管障害)の予防にあります。脳卒中は、健康に自信のある方でも突然襲ってくる場合が多く、命を落としたり、後遺症に苦しむことの多い病気です。MRIという磁気共鳴画像診断装置が導入されたことにより、脳血管の状態を造影剤や放射線を使わずに安全に検査することができるようになりました。
このMRIにより脳卒中の予防への道が開けてきたといえるでしょう。
注意 下記の場合はMRI検査は受けられません。
- ペースメーカー、体内自動除細動器、骨成長刺激装置、体内神経刺激装置、人工内耳、注入ポンプ、電気および機械的に作動する体内埋め込み機器を持つ方。
- MRI検査のできる確認がとれない血管クリップ(頭蓋内動脈瘤クリップ等)を持つ方。
- 磁性体金属が体内にある方、体外金属がはずれない方。
- 刺青のある方、妊娠の可能性のある方・妊娠中の方。アートメイクをしていらっしゃる方。
- 高度の閉所恐怖症のある方。
検査症例
頭部領域の映像
3T MRI装置では、従来の1.5T装置に比べ、細かい脳血管まで描出されます。
頭部領域の映像
3T MRI装置では、従来の1.5T装置に比べ、脳動脈瘤がより鮮明に描出されます。
頭部領域の映像
3T MRI装置では、従来の1.5T装置に比べ、小さな梗塞巣がより明瞭に描出されます。
MRスペクトロスコピィ
MRスペクトロスコピィは、腫瘍や臓器の生化学成分を解析する検査法です。形態診断だけでは、診断困難な腫瘍や臓器の性状診断が可能となります。腫瘍の良悪性の鑑別や治療効果判定に役立ちます。3T MR装置により日常診療で、MRスペクトロスコピィが検査可能となりました。
頭部領域の映像
3T MRIは、神経線維の経路を画像化する神経トラクトグラフィが行なえます。
外科手術や放射線治療に役立ちます。
腹部の映像
3T MRIは、腹部の諸臓器の検査にも有用です。胆道や膵臓の膵管を造影剤を使用せず描出することも可能で、胆道系や膵臓の疾患にも役立ちます。
膝関節の映像
3T MRIは、各関節の描出にも有用です。従来の1.5T装置に比較して、関節軟骨の変性などが、より明瞭に描出されます。
前立腺の映像
3T MRIは、前立腺の描出にも有用です。高い分解能の画像により小さな過形成による結節が描出されています。
乳腺の映像
3T MRIは、乳腺の造影にも有用です。高い分解能の画像により小さい乳がんが鮮明に描出されています(赤い矢印)。
脳血管の映像
3T MRIは、脳血管の描出にも有用です。高い分解能の画像により、脳血管の細かい部位まで鮮明に描出されています。血管の狭窄や小さな動脈瘤の検出に有効です。
腹部の映像
3T MRIは、腹部の造影にも有用です。影剤を用いたDynamic studyで、肝腫瘤の肝細胞がんに特徴的な造影効果が認められ(矢印部分)、肝細胞がんと診断されました。
骨盤の映像
3T MRIは、骨盤の造影にも有用です。1.5T MRIに比較して高い分解能を有した3T MR画像により、子宮の小さな筋腫や卵巣ののう胞性変化が良好に描出されています。
脊椎の映像
3T MRIは、脊椎の検査にも有用です。高い分解能のMR画像により、脊椎全体の評価が詳細に可能です。背中や腰の痛みの原因を明らかにするのに役立ちます。
膝関節の映像
3T MRIは、膝関節の検査にも有用です。高い分解能のMR画像により、膝関節のじん帯や軟骨の変性が診断できます。